デザイン力とは問題解決力


美術が得意というのは「自己表現」が得意ということであり、他人よりも上手に「スタイリング」ができる(オシャレに整えることができる)ということであって、決して「問題解決」に長けているというわけではない。

逆に言えば、本来「デザイナー」は美術系大学を出ている必要はまったくない。

質の高い課題を発見し、解決の糸口を提示することが出来さえすれば、簡単なポンチ絵が描ければ十分なのである。

実際世界のトップのデザイナーの中には絵心が皆無と言えるひとが数え切れないほどいるが、彼らの「デザイン力(問題解決力)」はやはりスバ抜けている。

「デザイン思考の先を行くもの」
(各務太郎・著、クロスメディア・パブリッシング)

デザイン力とは問題解決力のことであり、「問題を発見し、解決の糸口を示す」能力だと言っています。私たちが普段「デザイン」と聞いて想像する「オシャレなグラフィック」等は、厳密にはデザインの範疇ではなく、絵心・造形力・センス・クリエイティビティは一切関係ない、と。

肩書きが「デザイナー」と聞くと、カッコいいもの、センスのよいもの、美しいものを0から生み出す人、というイメージがあって、絵が上手い、さっとパースを描ける、という印象が強いですが、

そういう絵の上手下手は関係がなく問題解決力こそが「デザイン力」だと各務氏は述べています。

で、この「問題解決力」とは何か、というと「ふつうの人から見れば全く関係ないふたつの異なるものも、それぞれをシナリオまで抽象化してとらえることで、同じ土俵で結びつけることができる眼力」でもあり、課題に注目して、解決への道筋を「設計」することである、と。

そうやって見ていくと、デザインというのは
俗にいう「デザインされたもの」に限らず、例えば医者が患者という課題に対して、処置・処方箋の問題解決をすること、検査、薬品、生活環境の考察といった複合要因を結び付けて、そのバランスを設計していくという、まさにデザインそのものなわけです。

量販店で家具を注文する、その時に部屋のサイズ、住まい方のイメージ、色や素材の好み、将来の使われ方といった複合的な要因を店員が総合的に把握して、ならばこれでいきましょう!と解決の商品と設置法を示すこと。これも設計行為であり、「デザイン」そのものです。

こうして見た時に、
問題解決の「デザイン」ときれいに形を整える「アート(またはスタイリング)」は全く異なるものだ、ということが納得できます。

家具でいえば「我が家はニトリで全部まとめてしまおう」と考える人が増えているように、
それは「お値段以上のお得感」というだけでなく、生活を豊かにするコーディネート、見た目だけではないライフスタイルの設計の視点がふんだんに入っているからだと言えるわけです。

スーパーマーケットでトマトを売るだけでなく、
そのトマトの先にどういったレシピがあるのか、健康があるのか、楽しみがあるのか、といったところまで顧客に想起させるようなコーディネート力、設計力、デザイン力というものがあらゆる業界において求められる能力だ、ということではないでしょうか。